■ DATA

☆ 技術資料


プリント基板の基礎知識
基板の種類

表1に基板の種類を示します。記号は、JISよりNEMA(米国電気製造業者協会)の方が一般的です。
表1 基板の種類

基 板 材 NEMA記号 JIS記号
紙フェノール XPC PP材
紙ポリエステル FR-2 PP材
紙エポキシ FR-3 PE材
ガラス紙エポキシ CEM-1 CPE材
ガラス基材エポキシ CEM-3 CGE材
ガラス布エポキシ G-10 GE材
ガラス布エポキシ FR-4 GE材



注:NEMA(米国電気製造業者協会)
銅 箔

厚みは18μ(1/2オンス)、35μ(1オンス)、70μ(2オンス)が主です。信号用には、18μ、35μが、電源層用には35μ、70μが使われます。18μはファイン・パターンの表面層に利用されますが、メッキ工程で20〜30μ程度の銅箔がつきます。(最近では更なるファインパターンのために、10,12μ材が使われるようになりました。)

電源層に信号パターンを通すときは35μを使用しますが、70μのほうがスルー・ホール接続が確実といわれています。


プリント基板の寸法精度
; 表2に一般的な基板の寸法精度を示します。

〈表2〉 基板の一般的な寸法精度


項 目 精 度
板厚 基板板厚の10%または0.18oの大きいほう
外形寸法 0.2o以内
穴位置 一般穴 0.1o以内
ガイド穴 0.05o以内(加工穴などの指定穴)
きり穴 0.2o以内(プレス加工穴)
穴径 一般穴 0.1o以内
ガイド穴 0.05o以内
きり穴 0.2o以内(プレス加工穴)
フィルム仕上がり幅 設計幅 基板上の仕上がり幅
0.35o
0.25o
0.20o
0.15o
0.25o
0.15o
0.13o
0.08o
ソルダ・レジストの位置 フォト・レジスト・タイプ 0.1o
印刷レジスト・タイプ 0.2o


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板厚精度

積層を行う多層基板は、板厚の寸法公差が2層基板に比べて大きくなります。選別管理を行うことで1.6oから2o厚の基板で0.1o程度の公差に抑え
ることもできます。


外形精度

一般的に外形精度は0.2o程度ですが、VMEボードの外形寸法の指示公差は+0〜0.3oですので注意が必要です。


穴位置精度/穴径精度

基板量産時には、部品取り付け穴などのきり穴はプレス加工が可能です。プレス加工では基板コストは下がりますが、穴位置精度と穴径精度が落ち、
そして内層の逃げ寸法も大きくする必要があります。これがいやならルータ加工を要求します。
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ソルダ・レジスト位置精度

表面実装部品など端子間隔が狭いものは、フォト・レジスト・タイプを指定します。


パターン仕上がり幅

基板の配線パターンは、設計幅より細くなります。電気的な性能を議論するときは仕上がり幅で考えます。


配線抵抗

配線の1pあたりの直流抵抗は、銅の電気抵抗から次式で表せます。

R=0.00017/(ω・ t)[Ω/p]
ただし、ω:導体幅[o]、t:導体厚[o]


ディジタル回路ではさほど影響はありませんが、アナログ回路で不用意に0.15o幅の35m厚パターンを200o長で使うと配線抵抗は約1にもなります。

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スルー・ホール抵抗

抵抗は表3(b)に示すとおりですが、電流容量はめっき厚を20mとすれば、穴径0.4oのビヤーでも断面積は0.024muとなり、厚さ35mの銅箔で考えると0.7o程度の導体幅に相当します。


静電容量

誘電率とともに絶縁層の厚みふが大きな影響を与えていますので、層構成を決めると きは注意してください。絶縁層が薄いと静電容量が増し、耐ノイズ性やクロストークの 影響は減らせますが、伝搬速度は遅くなります。 とりあえずの記憶用として条件を無視しておおよその数値お示してあります。一般の基板では、ほぼこの範囲に収まります。


インダクタンス

これも記憶用に数値だけを示せば表3(d)のようになります。


遅延時間

誘電体の内部では、信号の伝搬速度は、誘電率が高いと遅くなり、誘電率の高いエポキシ基板では問題となります。誘電率5程度のエポキシ基板では、配線長に10pの違いがあると0.6nsの遅れとなります。これはECL回路やほかの数nsの速度のデバイスでは無視できません。タイミングずれの対策としては、等長パターンなどを使う方法があります。


電流容量

表3(f)のような表が提案されています。表では導体温度上昇と電流値示されていて一般には温度上昇を20℃以下で使用するよう提案しています。変色が始まります。80℃を越えると比較的短時間で変色し、120℃を越えると導体のはがれが始まります。機器の使用温度を40℃とすると、内部はすでに60℃くらいになっている場合が多いと思いますので、電流による温度上昇は避けたいものです。ふつうは1A/o(35μ銅箔厚)を目安にしたほうがよいでしょう。


破壊電流

表3(g)のようなデータが出されていますが、本当に破壊するかどうかはわかりません。これを期待してヒューズ代わりに利用するのは避けるべきでしょう。


耐電圧とパターン・ギャップ

JISでは表3(h)のような提案をしていますが、これには疑問があります。これでは、AC100Vのラインのパターン・ギャップは0.508o、500Vで1.524oとなり、これでは電取法に適合しませんし、実感でも少なすぎます。基板の汚れなどを加味して、もう少しギャップを広げたほうが良いでしょう。参考までに各国の規格を表3(i)に示します。







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